日本における胎内記憶の歴史

日本における胎内記憶の歴史を文献と共にご紹介します。

ここに示したものはごく一部の情報であり、胎内記憶研究の流れを大まかに示す為の指標と捉えて下さい。
これ以外にも色々な胎内記憶の情報が発信されています。

最初の文献・勝五郎再生記聞

(出典・画像転載元:Wikimedia・篤胤

勝五郎再生記聞
平田篤胤 1823 文政6年最初の文献は平田篤胤の勝五郎再生記聞で発表されました。これは9歳の勝五郎が前世を覚えているという輪廻転生の物語が書かれていました。この本は日本で、そして世界で初めて書かれた「胎内記憶」そして「前世記憶」に関する本であり、後にバージニア大学で前世記憶に関する研究を行うきっかけとなりました。

参考サイト
勝五郎生まれ変わり物語
「ほどくぼ小僧 勝五郎生まれ変わり物語 勝五郎生誕200年記念展」

近代・現代の研究・出版

1949年:仮面の告白

仮面の告白
三島由紀夫 1949年

日本の文学では三島由紀夫が「仮面の告白」の冒頭で、

「私」は、生まれた時の光景を憶えていた。午後9時に生まれたにもかかわらず、産湯のたらいのふちに射していた日の光を「私」は見ていた。

と記述しており、これは三島由紀夫の実体験をそのまま表現したものだと考えられます。

1975年:胎内音の研究

日本医科大学第2産婦人科教授・室岡一

1975年には日本医科大学産婦人科の室岡一教授が、子宮内の音を録音して、新生児に聞かせ覚えているかという研究をしています。

1987年:胎児は見ている

胎児は見ている
トマス・バーニー 祥伝社 日本発売 1987

日本の胎内記憶を伝えた最初の本が1987日本で販売されたトマス・バーニー博士の「胎児は見ている」です。

1988年:誕生を記憶する子どもたち

誕生を記憶する子どもたち
デーヴィッド・チェンバレン 春秋社 日本発売 1988

チェンバレン博士の日本語の本の出版はトマス・バーニー博士の本の出版の一年後でした。

この2冊の本の出版により、日本にも胎内記憶のブームが起きました。

1983年:胎児からの子育て

胎児からの子育て
大島 清 (著), 斎藤 公子 築地書館; 増補新装版 (1995/7/1)

1983年に大島清・山内逸郎・井深大(SONY)によって共同研究が行われていた。

1988年:胎児に音楽は聴こえるか

胎児に音楽は聴こえるか
大島清 1988年 PHP研究所

1988年:胎児の記憶と学習の可能性に関する研究

文部省科学研究費補助金研究成果報告書(1988-1989)昭和63年

1988年から1989年の二年にわたり、国費での胎内記憶の研究が行われました。

この時の研究は、胎内で聞かせた音を生まれた後も赤ちゃんは覚えているか、という内容の研究で、いわゆる「刷り込み現象はあるか?」という研究でした。その結果は「ある」という結論でした。

1992年:日本の胎内記憶黎明期

誕生の記憶 春秋社編集部編 1992
胎児たちの密儀 真名井 拓美 1992
関口宏のワンダーゾーン よみうりテレビ 1992年7月20日放送
日本では1992一斉に胎内記憶についての本、テレビ番組が発表された。

1993年:オウムサリン事件

東京地下鉄サリン事件
3月20日、オウム真理教のメンバーが東京の地下鉄で地下鉄サリンを撒いた。
この事件の後、胎内記憶はメディアによって隠蔽される

1994年:生きがいの創造

日本の医療者に魂の存在を伝えたのが、オウム事件の翌年に出された福島大学経済学部の飯田文彦教授の「生きがいの創造」でした。
この本が広く読まれるようになったのは、福島大学は唯物論の拠点であり、その大学の教授が発表したことで話題となりました。
生きがいの創造の英語版は今もインターネットで公開され、無料で読むことができます。
飯田史彦研究室「幸せの森」公式入口

1998年:胎内記憶~バース・トラウマの秘密

胎内記憶~バース・トラウマの秘密
七田眞、つなぶちようじ ダイヤモンド社 1998年

この本の著者である七田眞氏は、七田式メソッドの創始者です。
彼はこの本の中で、生まれた瞬間や胎内での記憶や体験がトラウマになる可能性があることを伝えています。
出生時のトラウマについて語り、トラウマの体験が人格の形成に影響を与えることや、子どもの未来や生きる意味を問い直しています。

2008年:胎内記憶~命の起源にトラウマが潜んでいる

胎内記憶~命の起源にトラウマが潜んでいる
池川明  角川SSコミュニケーションズ 2008年

池川博士もこの本の中で「今ある喜びも苦しみも、生きにくさも、すべては胎内から始まっている。」という事を胎内ですでに触覚・聴覚・嗅覚などの五感が機能し、知覚も意思もあるという研究で伝えている。
バーストラウマがその後の人生に多大な影響を与えるが、胎内記憶を語る子どもたち証言からトラウマの連鎖を断ち切るための家庭や社会のあり方を提案している。

2016年&2022年:胎内記憶のドキュメンタリー映画

ドキュメンタリー映画 かみさまとのやくそく

 

【概要】

2013年12月から、自主上映会を中心に、口コミだけで32万人以上の方にご覧いただいた胎内記憶をテーマにしたドキュメンタリー映画

【あらすじ】

池川明医師は神奈川県横浜市で産婦人科のクリニックを開業するかたわら、胎内記憶研究の第一人者として全国を講演して回っています。胎内記憶を持つ子どもたちに、生まれてきた理由についてたずねると、「人の役に立つため」と答えるといいます。

中部大学の大門正幸教授と池川明医師による胎内記憶、出生前記憶の聞き取り調査を通して、カメラは胎内記憶研究の現場を見つめます。胎内記憶への解釈が、母子や兄弟間の絆にどう影響を与えるか、研究者とともに感じ、考えてください。

2022年最新版
映画の後半は、海外の研究者たちによる胎内記憶の最新情報として2019年にアメリカで開催されたAPPPAH(出生前・周産期心理学協会)国際会議に日本から参加した胎内記憶研究チームを同行取材しました。